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[017]
Yak/Lambs Links & Intarsia


手編みで言うとガーター編み、機械編みだとパール編み、またはリンクスと呼ばれる編み組織のストライプ柄のセーター。オーストラリアのニットメーカーFANNI LEMMERMAYERのセーター、特にカーディガンは、その代表的なものとして知られている。
その製品に特化した伝統ある工場だけあって、裾や袖口リブがリンキングではなく編み続きのようになっている。恐らく特注で作った専用のリブ機を使っているのだろう。これを真似することは出来ないし、意味がない。
パール編み=リンクスはわたしたちが生産背景としている「手編み」「手横」では難しい編地の一つだ。
手編みの場合、編み方は簡単だけれど、ゲージが細かくなると編み時間が膨大になり大変な作業になるので向いていない。
手横の場合、裏目と表目を交互に表に出すには一段ごとに編地をひっくり返し、針にかけ直さなければ出来ず、ほぼ不可能な編み方なのだ。
またまたOの無邪気な欲望によりこういうのがやりたい、と難題を持ち掛けられたのが始まりで、それが出来る背景で生産をしようと、自動機を使った技術では国内屈指の、旧知の工場で制作をお願いすることになった。
とにかく研究熱心で、技術の相談をすればどうしたらできるかを研究してくれる、間違いなく最高水準の工場だ。
素材はラムウールとヤクをミックスした糸に決め、例にもれず何度もまずはわたしが手編みで柄を考えながら編地を試作、それを繰り返して企画を決めていく。
それから工場へ依頼するのがわたしたちのやり方だ。
伝統ある製品にはかなわないので、わたしたちらしいボリューム感のある肉感と、洗練され過ぎない古着のような雰囲気、そうした仕上がりを目指して制作した。
せっかく最高水準の工場へ依頼するのだからと、同じ糸を使って、違う技術を使ったものも制作しようということになり、インターシャ(編み込みではなく、糸の切り替えで色や柄を作っていく編み方)でバイカラーの配色にしたセーターとカーディガンも加えた。
2色の糸を杢とストレートのカラーで仕立てて、これも古着のような雰囲気を目指した。
最高水準の工場だけあって、通常ミシンで開ける釦ホールも編みで開ける。編地的にそれが難しいリンクス編みは、なんと針をオーダーして出来るようにしてくれた。
当然プライスも最高水準だけれど、それに見合う仕上がりになっている、はずだ。
古着のようなイメージと高級感、その双方が滲み出ていますように。