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Products for Spring 2024


湿度の高い日本の夏、ニットウェアを着る機会は多くはないだろう。
ファッションの世界では販売時期の兼ね合いなどもあり、春夏商品というのはどうしても夏まで着られるものが好まれる。ニットウェアに特化したわたしたちにとってはかなりのアウェーだ。
それでも、ニットウェアが好きなわたしたちにとって、着たいもの、つくりたいものはあって、そんなプロダクトを今回も提案している。
前回のSSで開発した素材が2つ、新作素材が2つだ。
継続素材の1つ目は、手横で編んだニット。和紙と粗杢グレーのリサイクルコットンを撚糸して、製品染めで奥行のある独特の色に仕上げたシリーズだ。スウェットシャツのような感覚で着られるシーズンレスのニットウェアとして、新色3色で展開している。production notes No.011参照
2つ目は、今回秋のデリバリーでも展開しているオリジナルのジャージー素材、製品染めのボーダーから2型、クルーネックの長袖と半袖を春の新色で展開している。production notes No.012参照
わたしたちにとって前回がSSの最初のコレクションだったので、継続素材、モデルに関しては前述の通り、無邪気に「好き」なものたちばかりだ。
新作の1つ目は、前回SSと今秋にも展開している継続素材、和紙×英式梳毛ウールの強撚糸を、春向けに薄手の編地で作ってみようと考えたものだ。といっても頼りない肉感は好みではないので、張りコシのあるミラノリブ組織で<No.017>で前述の国内最高水準の工場に依頼した。糸切れしやすい難しい素材を、その高い技術で制作してくれた。ポロニットの編立釦ホールはこの工場にしか出来ない。素材の特性上糸染めの難度が高いため、製品染めで春らしいカラーを展開している。
2つ目はオリジナルのジャージー素材。前回のSSで制作した「裏毛のように見えるけれど裏毛ではない半袖のスウェットシャツ」を継続したいと思っていたのだけれど、工場の現場から「度目がきつすぎて機械が壊れてしまうので、もう出来ない」との連絡。
気に入っていただけに落胆し、他のアプローチで出来る素材はないか探し回っていたところ、良さそうな素材の試作を見つけた。これも裏毛のように見えるけれど、編み方が違うインレーと呼ばれる組織だ。縦方向に留め糸の筋が走るのも良い。
表面を粗杢グレーのリサイクルコットンにして素材を制作、縫製はフラットシーマー、グレーの杢感を残した製品染めで、古着のようなイメージに仕上げた。
前回は半袖のスウェットシャツ型のみだったけれど、今回は長袖も加えた2型。
春のプロダクトは多くはないけれど、「つくりたいもの」が詰まっている。