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[026]
Yak/Lamb wool Intarsia/Brushed double jacquard

昨シーズン制作した自動機によるインターシャ(縦方向に色を切り替える手法)のカーディガン、クルーネックセーターは、個人的にとても気に入り、不本意ながらOとお揃いで所有している。さりげなすぎる色の切り替えのせいかセールス的にはマイノリティだったので、密やかなこの「推し」アイテムを今回ブラッシュアップして継続している。
色目にもう少しインパクトを持たせようとバイカラーからトライカラー(3色使い)にするため、試行錯誤して制作したのが今回のカラー。
ヤクとラムウールの掛け合わせで作っているのだけれど、カウチンのように肉厚なものと違い、肉感に合わせると一本の糸に使用できる色数が限られるので、使える色目も限定されるのが悩ましい。
色バリエーションが多いラムウールに対して、掛け合わせるヤクのカラーはナチュラルカラーがメインで、出来上がりの色目が絞られる。今回別注でブルー系のヤクを作ったので、一色はそれを生かしたカラーに仕上げ、昨年制作したネイビー系のカラーにはエンジ色を合わせて少しポップに仕上げた。
少しだけ華やかに進化した「推し」の、今後の活躍に期待したい。
インターシャと同じ糸を使って新しく制作したのがダイヤ柄のジャカードセーター。
Oが探してきた古着をモチーフにしているが、より上質感を加えたいとヤクとラムウールを掛け合わせた同じ糸で制作している。
インターシャ同様、使える色目に限りがある中、テレビに映った犬の毛色などOの無邪気な提案やもやっとしたイメージから、色々なパターンをせっせと試編みして辿り着いたカラーの組み合わせ。
サンプルもボートネック→モックネック→クルーネックとVネック、という遍歴を経て、ようやく完成。完成後も何か一味加えたいと、起毛加工を加えることにした。
山梨の加工場にサンプルを持ち込んで、その場で加工の試作を依頼。モヘアを使った製品でよく目にする加工だ。チーゼルという植物の棘が無数に生えたたわしのような実をセットした機械で、職人さんが一枚一枚起毛をかけていく。
モヘアとはまた違うヤクの風合いが生きたフワフワなセーターに生まれ変わったサンプルを見て一安心。ようやく長い旅路が終わり、その足で山梨をドライブ。洒落たカフェでお茶を飲み、絶景温泉に浸かって試作の旅路を締めくくったのであった。