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[018]
Wool French terry


スウェットシャツといえばChampionがその代名詞となっている。
それというのも、先駆者としての長い歴史があるからだ。
記録に残っている中では、Championの最初の製品はウールのニットウェアらしく、丸胴の古い編み機で編まれたウールのカレッジセーターやスポーツセーター、スウェットパンツも資料や古着で見ることができる。
その後コットンのニット製品の製造がスタートしてからは、アスレティックウェアとしての特性上、スウェットシャツやパンツはコットンのものがスタンダードになっていく。
前回のSSのproduction notesにも「裏毛」はわたしたちにとって悩ましい素材だと書いた。
わざわざわたしたちが作らなくても、名品が沢山存在するからだ。
これは、という素材に巡り合うまで、無理せず向き合おうと考えていたところ、別件で商談中に「これ好きなんじゃないですか?」と試作が上がったばかりの素材が出てきた。
表も裏パイルも紡毛のウール、ずっしり重いウール100%の裏毛素材。
紡毛ならではの質感と重量感、夫婦二人で顔を見合わせ、「いいね、やります。」と即答した。
ウォッシャブルの紡毛糸を使っているので、手洗いも可能。紡毛ならではのTOP染めカラーも魅力だ。
フーディーも考えたけれど、フードの重さが凄いだろうと却下。ヴィンテージの資料で見たモックタートルのスウェットシャツをイメージして、編立てのリブ付属を組み合わせ、ニットウェアブランドらしいセーターのようなスウェットシャツに仕上げた。
サイドポケットは手をいれやすいように、脇線を少し前に回している。
縫製上難しい所以外は、4本針のフラットシーマーで重ね縫いしている。ご存知の方が多いと思うが、昔のスウェットシャツはこのミシンで縫製されているものが多い。
名前の通り生地を上下に重ねてフラットにシーム(縫う)するので、縫い代がゴロゴロせず、生地端が表に見えるので、洗いこんでいくと独特の味が出てくるところが好きだ。
素材はわたしたち好みに目が詰まっていて、とにかくウェイトが半端なくついているため、生地の重さも値段も半端ない。その分存在感と保温力は抜群だ。
目が詰まっているので生地巾も狭く、用尺のかかるパンツはいくらになるんだろうと思いながら、やっぱりスウェットシャツをやるならパンツもやりたいと、上下取り揃えて制作した。
何故かいつも重い、厚いに縁のあるわたしたち。多様性と耳にすることが増えた今、マイノリティとは知りつつ、広い世の中、同じ好みの人がいると良いな、と願っている。