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Jersey fabric products for 25AW
地球温暖化による影響は気温や自然災害だけでなく、日本の「四季」の存在をも脅かすものになってきている。四季の中でも最も好きな季節「秋」が来たのか来なかったのか、そんな気候を体感すると、自分も含めた人間の業の深さについて考えてしまう。
深淵な語りから始まったものの、高尚な話ではなく、来ないかもしれない秋に向けてどんなプロダクトを作ろうか、という世俗にまみれた思考の話である。
紡毛のニットウェアがメインのSlopeslowではあるが、23AWから継続しているジャージー素材のプロダクト「Wool French terry」はベストセラーといってよいほど好評を得ている。
編み機に入る限界の太番手のウォッシャブルの紡毛ウールを表面と裏のループ面に使用、中糸は梳毛のウールを使用したウール100%の裏毛素材は、メルトンなみのウェイトが災いして大変高価なスウェットアイテムではあるが、ご愛用者から賞賛の声も多く届く。
風や雨も通しにくい高い防寒性に加え、張りのあるフォルムが着崩れずだらしない雰囲気にならないこと、しわになりにくく膝やひじも抜けにくいので、楽な着心地に反して合わせるアイテムやシーンを選ばないことも大きな長所だ。
暖かいけれどタッチがドライで肌にまとわりつかないので、秋、冬問わず長く着用できる抜群の利便性は体感してもらうとご納得いただけるはず。今シーズン、表はチャコール、裏のループ糸を黒で仕上げた新色を加えた3色、3型でラインナップも広がった。
来ないかもしれない秋に向けて、もう一つ以前からやりたかったジャージー素材のアイテムを制作した。古着でも見かけるベロアのプルオーバーやトラックジャケットをイメージしながらも、納得できる上質な質感を目指し制作したコットンシルクのベロア素材。
古着ではほとんど見かけないけれど、同素材でトラックパンツも揃えてセットアップでも着られるシリーズを作りたいと考えていたので、パンツにも耐えうる肉感にもこだわった。
起毛部分はコットンシルクの糸、ベースをコットンで制作してもらったのだが、ベロア素材の場合毛抜けを防ぐためナイロンやポリエステルのフィラメント糸を絡ませることが多く、
それを使わずに仕上げるのに機場はかなり苦労をしたようで、またシルク混のため染めも中々上手くいかず、依頼してから数か月後ようやく完成。
ファーストシーズンからHard twisted Shetland woolで展開している米空軍のインナーブルゾンをモチーフにしたSlopeslowのアイコンモデルともなっている「type C-2」型のブルゾン、スウェットシャツ感覚で着られるプルオーバーとトラックパンツの3型をブラック1色で制作。チンピラ風に上下揃えて着用しても、上品に見える良い質感に仕上がっている。
こだわった分、機場や染めの現場の苦労を反映し高価なアイテムになってしまったのは因果応報。南無。
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