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[021]
Hand knitting products for 24 Autumn/Winter

わたしたちの場合、新しい企画は手編みのアイテムから始める。
糸の試作から開始して、展示会用のサンプルを作成するまでに約半年ほどのスパンが必要だからだ。
糸の試作では、色によっては一つの色を決定するまでに20色ほどの候補色の糸を何通りもの組み合わせで撚り合わせ、自ら試編みをして縮絨する、という地道な作業を繰り返す。
2~3回の試作で決まるものもあるけれど、試編みだけで20パターン作った色もある。
通常のアパレルでは、これを取引先に依頼して試作してもらうのだが、こんな依頼を快く引き受けてくれる先はまず無いだろう。自分の為以外に面倒な事を進んでやる人はいない。
Slopeslowの独自性はここにあると言っても過言ではない。
自分達で糸の試作を行うので、糸作りに納得できるまで手間と時間をかけられるのだ。
ファーストコレクションから制作しているカウチンセーターは、ありがたいことに早くもわたしたちのアイコンモデルのようになり、お客様からダイレクトにお問い合わせをいただく事も増えている。
今回はフェイドしたデニムのような”fade blue”と、継続していたミントカラーに代わって奥行と色味を感じる霞がかった淡いトーン”fog”、ほぼ黒に見えるけれど何色かミックスして作っている”dark navy”の新色3色を制作、アイテムも求心編みのタートルネックセーターに加えてクルーネックセーターも用意した。
前回までキャメル/カシミヤの糸で制作していたクリケットセーターは、新型のベストを加え、今回は新しい糸で制作している。
糸の太さがランダムなウールのスラブ糸に、カシミヤで上質感を、ヤクでヘアリーなタッチを加え、シルクネップの面白いカラーを生かして作ったオリジナルの糸だ。
これも納得のいく風合いになるまで、カシミヤやヤクの本数取りを何度も変えて試作している。
実はこうした糸の試作を思い立ったらすぐ出来るようにと、既に生産終了しているレアな家庭用の撚糸機を購入したのだ。
リビングを毛埃だらけにしながらせっせと試作を繰り返すわたしたちは、さながら新しいおもちゃを手に入れた子供のようであったに違いない。
残念ながら永遠に糸の試作ばかりしていられないので今は遊べないけれど、来年の試作が待ち遠しい。