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Hand knitting Cowichan sweater
ファーストシーズンから継続している重く張りのあるカウチンセーターは、必要とされる分をコツコツと作りつづけたいという思いから、希少になってきている日本国内の編み手さんたちに手編みで編んでもらっている。年を重ねるごとに、ありがたいことにSlopeslowのアイコンモデルとして認知されるようになってきた。
継続しているヤク/ラムウールのカウチンセーターとは別に、今シーズン新たに制作したのが「柿渋染め」のカウチンセーターだ。
23SSと23AWで制作した和紙/コットン/強撚のラムウールを掛け合わせたオリジナル糸のカウチンセーターを柿渋染めで仕上げたもの。
日本で古くから用いられてきた柿渋染めは、素材の強度を上げ、水をはじく特徴から、山野を駆け回るための山袴や、山伏の法衣にも使われていたそうで、現代的に解釈すればアウトドアウェアに適した染め手法といえる。
柿渋染め同様、古くから用いられてきた「暮染め」という技法は、柿渋染めで下染めしたものを、クレと呼ばれる鉄分を有する水で媒染処理を施すもので、柿渋の効果、効能はそのままに、より強度も増し色が褪せにくくなるという。褐色から黒く変化させる暮染めは、使いこんでいくうちに柿渋の赤みがじんわりと姿を現すそうだ。
実際の見学に行った工房で、手作業で色の入り方を確認しながら繰り返し行う染め作業や、ビニールハウスを使った天日干しによって発色させる工程を見せていただいた。
日光の当たり方や光の加減、向き、季節や天候、素材によっても色の出方が大きく変わり、様々な条件が重なり合って自然の力にゆだねて仕上げられていく様は、味噌や酒、醤油や納豆、チーズなど生きた酵母を使う「発酵」に似ていると感じた。
自然の力を借りるので、一枚一枚仕上がりに個体差が出るのも特徴の一つだ。
柿渋染めに比べ冬のアウターとして通用するヤクとラムウールを多色に掛け合わせたオリジナルの糸で作るカウチンセーターと、求心編みのプルオーバーはずっと大切に継続しているモデルだ。今季はよりミックス感の強い新色2色を制作。
着用時に自重で垂れて重さを感じないよう、限界に目を詰めて編んでもらっているため、編み手さんにとって体力も力も必要で、沢山のオーダーに応えて一年中これを編み続けてくれているおかげで何とか供給できているが、そろそろ生産のキャパが限界に近づきつつある。また、少量ずつ編みあがってくる製品を都度縮絨するのは加工場にとっては効率も悪く、目が詰まった重いカウチンは風合いも出しづらく、上り後に自分たちで仕上げ直しをすることも多かった。改善策を考えた結果、自分たちで縮絨すれば、一枚ずつ風合いやサイズ感を確認しながら検品もできるし、仕上げたいイメージを熟知している自分たちが手掛けるのがベストだという結論に至り、25AWからは縮絨をすべて自分たちで行うことにした。生産方法の見直しと併せて今回からプライスも見直している。
自分たちは例外だけれど、誰かが我慢や無理をする仕事は続かない。大事なプロダクトを継続していくため、最善の方法を常に考えて、模索しながらものづくりは続いていく。
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