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[013]
Dry terry / Tuck jersey Overdyed

ニット同様、ジャージー素材も今回のキーワードは「ドライタッチ」と「製品染め」だ。
数々の名品がひしめく「スウェットシャツ」。日本国内、特に和歌山に多く現存する吊編み機で作られる吊裏毛は広く知られており、多くのブランド、メーカーがこの吊編み機でスウェットの名品を作っている。
古い機械でもある吊編み機で編んだ素材は、ゆっくりとしたスピードで編まれた編地を、引っ張らずに自然に編み下ろすことで、生地に独特の柔らかさとキックバックが生まれる。
素材のふくらみ感や、身体に馴染む着心地も支持される理由ではあるが、昔のスウェットシャツは吊編み機で作られていたので、ヴィンテージの良さを再現したいと思うと吊裏毛に向かってしまうのだ。
世の中にないもの、隙間を埋めたいわたしたちにとって裏毛は悩ましい課題でもあった。
吊編み機の名品は沢山存在するならば、違うアプローチで企画を考えよう。
「ドライタッチ」と「製品染め」をキーワードに試作を重ね、制作したのがシンカー編み機で敢えてキックバックを持たせず硬めに仕上げた裏毛だ。
ニット同様表にグレーの杢糸を使い、染めた際に色の奥行き感が出るようにした。
さらに、染める前に脱脂加工を入れてドライなタッチにしている。
キックバックが少ないので型崩れしにくくジャケットに丁度良いと、潔くジャケット1型のみで制作することにした。
衿や裾、袖口は同素材で編みたてたリブを使い、存在感のあるジャケットに仕上がっている。
ワークウェアとの相性もばっちりだ。

裏毛のように見えるけれど、裏毛ではないのが半袖スウェットシャツ型の素材。
裏面のタック編みによって、表に縦筋のような目が立つ素材だ。
硬い、重い、厚いとわたしたちの好きな要素が3拍子揃っているが、裏毛同様にこの素材もグレー杢の糸を使い製品染め、脱脂加工と盛り込んで仕上げた。
Oは半袖のスウェットシャツが好きで、Oの衣裳部屋と化した部屋に古着のそれが沢山積み上げられている。Tシャツと違い裾リブが付いているのでオーバーサイズでもバランスが取りやすく、Bも勝手に物色して着ている。
今風に言えばシェア、我が家ではジャイアン風に「お前のものは俺のもの」という合言葉で通っている。
硬い、重い、厚いの3拍子だけあって、丈夫で長持ち。春夏物とは思えないがっちり感を楽しみながら、老若男女、長く愛用してもらえればと願っている。