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Brushed Yak/Shetland wool
ウールの中でも張りコシがあり、膨らみのあるシェットランドウールに、カシミヤのようなソフトで肌当たりの良さを持ちながらも張りと強さを併せ持つヤクの毛を掛け合わせた糸を使ったセーター。希少になってしまった日本国内の手横編みで編まれた畦のタートルネックセーターは、ファーストコレクションから継続しているモデルだ。
ヤクの風合いを引き出し、見た目よりも軽くソフトになるように、度目を緩めに編んで、洗いの工程、縮絨で目を詰めて仕上げている。
今シーズンはちょっと雰囲気を変えたいと思い、パーツごとにヤクとシェットランドウールの色の組み合わせを少しずつ変えて、3色の杢糸のコンビネーションで仕上げたニュースタイル。タートルネックとクルーネックの2型で、選択肢も増やしている。
色の表現、組み合わせを変えただけで、同じデザインでも全く違う新鮮な雰囲気に仕上がった。
1本の糸を、原料や色の組み合わせや本数取り、ゲージや編み組織、縮絨方法などによって様々なデザインに仕立てられるニットの制作は、テキスタイルからパターン、デザイン、仕上げまで一貫して自分でデザインできるところに面白さがある。
デザイナーによって向き、不向きはあると思うけれど、わたしたち夫婦はそうしたニットならでは作り方が性に合っていて、一つ企画を始めると、こうしたパターンも可能かも、などとどんどんアイデアが広がり、結果手間暇のかかる面倒なことになって自分たちの首を絞めることも多い。
微妙に色の違う杢糸を6色用意することは、ロスも多くなり、生産効率の悪いやり方だ。SlopeslowではOが糸を制作するので可能なのだけれど、それでも手間暇、ロスなどはコストに反映する。
このセーターを手横機で編んでくれている工場は手間のかかる作業もわたしたちのような小ロット生産も丁寧にこなしてくれる大切な背景だ。
手横の編み機は使いこなすには経験も必要で、使える工員さん、職人さんがいなければ生産はできない。20年前くらいにはまだ中国でも手横機を使う工場があったけれど、今では世界的にも希少になってしまい、10年、20年後には無くなってしまっても不思議ではない状況だ。手編みのニッターさんについても同様で、そうなるとロットや効率の合う製品しか生産できない時代になってしまう恐れもある。
人の手による非効率的な生産方式は、誰かが病気になったり、家庭の事情で休むことがあったり、思うようには進まないことが多いけれど、わたしたちのようなメインストリームから少し外れたところにいるブランドやメーカーにとって、とても大切なものなのだ。
その大切な背景から工賃アップのお願いがあれば、喜んで受けざるを得ないだろう。
そんなこんなの事情もあってここでも今シーズンはプライスを見直すこととなった。
商品の力でその価値を伝える、それがわたしたちがやるべき最大の使命。
使命とは言ったものの大した自信があるわけではなく、お客様にどうか伝わりますようにと願うのみだ。
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