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Brushed Yak/Shetland
カシミヤにちかい素材感と粗野な雰囲気を併せ持つ「ヤク」が好きだと前述した。
「シェットランドウール」も昔から好きな素材の一つで、そのイギリス然とした佇まいに惹かれてしまう。
長年アパレルに携わってきたけれど、シェットランドウールは特にウィメンズの世界ではチクチクする、ガサガサする、と敬遠されがちで、ほぼ使える場面はなかったように思う。
そうした積年の悶々とした思いを開放するかのように、迷わずシェットランドウールを使ったセーターを作りたいと制作したものの一つ。
ヤクとシェットランドウール、好きな2つの素材と組み合わせると、シェットランドウールの持つ張り感がヤクの柔らかさを支え、チクチク、ガサガサとは無縁の心地よい素材に仕上がった。
3型は、ヤクの獣毛特性を生かしフエルト化する手前まで縮絨をかけて、チロルジャケットのような素材感をイメージして仕上げた。
ハイネックのフーディーは潜水夫や目出し帽(balaclava)をイメージして制作。ネック回りのボリューム感が良い感じに仕上がったけれど、1stサンプルは昭和の漫画タイガーマスクに登場する「ミスター・ノー」にそっくりで大爆笑したのは裏話。ご存知ない方は一度youtubeなどで検索してみてほしい。
ベーシックなVネックカーディガンは、mediumとlongの丈違いのサイズ展開。
同じ縮絨仕上げで、大判のストールも制作。トリミングは洗濯時のケアも考慮して人口皮革を使用。
同じ糸を使用して、縮絨の仕上げを変えた畦のタートルネックセーターは、衿接ぎを手作業で仕上げて縫い代を無くしているので、手編みのセーター同様に、衿を立てても、折り返しても着られるようになっている。