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Brushed Yak/Shetland wool
Brushed Yak/Shetland woolと名付けたこのシリーズは、ファーストコレクションから継続しているものだ。
片畦のタートルネックセーターと、目出し帽(balaclava)をモチーフにしたフーディ、どちらもヤクとシェットランドウールを掛け合わせたオリジナルの糸で制作している。
2型ともゆるゆるに編んだ製品を、洗いの工程でぎゅっと縮めて形にする圧縮加工で、厚さの割に軽くふわっと仕上げているけれど、糸の本数取り、組織、縮絨時間も違うものだ。
織物でも編み物でも状況は同じだけれど、現在日本国内の生産背景は減少の一途をたどっている。その中でも顕著なのが仕上げを担う加工場だ。
ニットの縮絨加工の中でも、こうした特殊で作業に手間と時間のかかるものは出来る所が限られる上に、思うように仕上がらないことも多い。
ちょっとした加減や工程で仕上がりの良し悪しに影響が出てしまうとても難しい作業なのだ。
ファーストコレクションでは何とか制作できたフーディの圧縮加工が段々と困難になり、今回思い切って背景を一新、自社設備で大変な縮絨まで何とか引き受けてくれる旧知の技術力の高い工場に依頼し、継続できることになった。
前回までは手横で編立を行っていたが、今回から自動機に変更。仕上がりは全く遜色ないものになっているが、どうしても価格を上げざるを得なかったことをご了承いただきたい。
片畦のタートルネックセーターは変わらず手横の工場で制作している。
タートルの衿接ぎを手まつりで縫い代のない輪編みのように仕立ててくれる希少な背景だ。
縫い代がないので衿の折り返しを自由に設定できるところが気に入っている。
フーディもタートルネックも新鮮なカラーを加えたいと思い、ブルー系やcandyと名付けたカラーなど、糸のベースになっているヤクやシェットランドウールを別注で新色を紡績したものもある。どれも奥行のある良いカラーに仕上がった。
新しい事を形にするのは大変だけれど、やり続けることも同じくらい難しい。
時を超えて愛用され続けるワークウェアのように、積み重ねられた叡智によって作り続けられるプロダクト。
目指すところはそこだ。